利川世界陶磁センターは、慌ただしい日常から一歩離れ、深まりゆく季節を感じながら作品に癒される企画展「憩い、土の道を歩くⅡ」を開催します。
「憩い、土の道を歩くⅡ」は、憩いと旅という身近な素材を通じ、難しく思われがちな現代陶磁を目と耳、身体で感じながら精神的・身体的な憩いを体験する場です。
本展示は、季節感溢れる森の中を歩いてふるさとに帰り、心あたたまるひとときを過ごした後、星空の下の田舎道を歩いて家に帰る旅人の一日を表わしています。展示を見た人はこの旅の主人公となり、世界の陶磁作家の現代陶磁作品が内包する自然と人生への視点を感じることでしょう。この短い旅が、真の憩いの意味を考えるとともに自分を振り返るきっかけになればと思います。
「憩い、土の道を歩くⅡ」は、利川世界陶磁センターと国立民俗博物館が共同企画した展示「憩い、土の道を歩く」(2015. 7.17~9.30)のコンセプトと趣旨に基づき、新しい現代陶磁作品と工芸、メディア作品などでアレンジした利川世界陶磁センター単独の企画展です。
招待作家
강설자(陶磁工芸)、고영규(木工芸)、김정순(韓紙工芸)、도선미(陶磁工芸)、송은서(メディア)、안미애(陶磁工芸)、안성만(陶磁工芸)、이혜원(陶磁工芸)、정유정(陶磁工芸)、조현하(繊維工芸)、한신희(伝統染色工芸)、한애규(陶磁工芸)展示構成
導入部 : 憩いへの旅夜明けの澄んだ空気を吸い込み、懐かしいふるさとへと向かいます。空腹を満たしてくれるおやつを重箱に詰め、旅の風情を感じさせてくれる小さな茶碗とポット、身体を包むマフラーや手甲などの荷物をコンパクトにまとめました。小さなお土産を手に提げ、わくわくと足取りも軽くなります。
秋空は青の絵の具を水に溶かしたように深みを増し、冷たい風に耐えようと木々は堅い皮で覆われます。時折り風に落ち葉がカラカラと乾いた音を立て、葦は大きくなびきます。季節の趣を味わいながら歩いていると、いつの間にか頭上に昇った太陽の光が大地を温めてくれます。
森を通ってふるさとの家にたどり着きます。おばあさんが作ったお昼ごはんには、まるで子どもの頃の思い出と懐かしさが盛られているかのようです。オンドル部屋に寝そべって熟柿を一口食べると、旅の疲れがすっと抜けていきます。そして、温かいお茶を飲みながらおしゃべりをしている間に、庭に夕闇が迫ります。
2-1 熟柿を一口食べると懐かしさがこみ上げる
2-2 オンドル部屋に寝そべって甘い眠りに落ちる
3-3 思索し、風流を楽しむ
家への帰り道、暗い夜空に隠れていた月と星が姿を現します。村の入り口にある岩に座って月を見上げていると、ふるさとや懐かしい友への想いが膨らんでいきます。そして、そんな憩いの旅を終える寂しさを、月明かりが慰めてくれます。